カーテンを閉め切った部屋

コロナが日本にも蔓延しだした年の春、一度帰省した時はそんなに違和感がなかった。家事能力の低い母親だが、それなりに部屋も片付いていた。重い掃除機が扱いづらくなった母親にルンバじゃないがああいうロボット掃除機の利用を妹が提案しネットで買って実家へ送っていた。ロボット掃除機をつかいこなしていたらしく部屋がきれいだった。

しかし去年秋に妹と帰省時期を合わせて帰った時には家の中のなんとも言えない荒れ方にびっくりした。
廊下・階段・リビング、至る所に物があふれている。物だらけでロボット掃除機が動ける面積がごくわずか。本当にひどかった。レースのカーテンが古く汚くなっているのは知っていたので、洗濯しようと見たら上から下まで大きく裂けていた。カーテン上部には虫の巣があった。

カーテンを洗うのをあきらめ新しいレースのカーテンを見繕っているときに、妹から「実家はすごい湿気が多いので、新しいカーテンに替えてもまたカビがつくと思う。なので浴室用のシャワーカーテンを吊っている方がまだましなのでは？」と連絡が入り、レースではなく浴室用のカーテンを探す。半透明のビニールカーテンをイメージしていたのだが、探すとポリ繊維のものが出てきた。サイズは少し長かったので上部フックを工夫してかけた。

家の中がものにあふれ、恥ずかしくてカーテンを開けられる状態ではなかった。カーテンをかけ替えて日中、カーテンを開けた。何年ぶりだろう。レースではないので夜でも透けることはない。日中は日が十分入ってくるので明るい。両親も満足していた。