お父さんのひらめき

今回帰省する直前に実家のガス給湯器に不具合が起こる。浴槽にうまく湯を張れなくなっていたらしい。原因は水漏れ。業者にみてもらうと一分間に１カップ位の勢いで漏れている。修理で直るだろうと診断され、修理が終わるまでは湯を使いたいとき開栓、使い終わるとバルブを閉めるの繰り返しになる。

給湯器への給水を制御するため緑のバルブを開け閉めするのだが最初、倉庫の奥にある管の　どのバルブか分からなかった。おとうさんに聞こうとしたがおとうさんは部屋を出て行き中々帰ってこない。部屋に来ないなぁと思っていたら、おとうさんはどのバルブを触るのか知らせるため該当バルブにヒモをくくり付け倉庫入り口までヒモを伸ばしていた。

「このヒモをたどっていくと給湯器のバルブが分かるからな。」

私ならスマホで写真を撮り説明することしか思いつかない。

「お父さん、ようこんな事思いついてやな！すごいアイデアやな！！」と絶賛した。おとうさんはエヘラエヘラ笑って嬉しそう。

おとうさんを持ち上げるのには理由がある。

とにかく母親がおとうさんをクサすのだ。帰省前に実家へ電話した時も電話口でおとうさんの失敗や物忘れを大声でこちらへ訴える。おとうさんの文句を言うだけ言って　だからといって自分が動くわけでもない。

「おとうさんは凄いな！全然ボケてないし私らが思いつかんようなことをひらめくのはほんま凄いな。」と言い励ます。

面白くない顔のおとうさんの表情が生き生きとし、朗らかに笑うようになった。